第2回ユビキタス研究所フォーラム開催!(2007/10/24)
昨日10月24日にIRIユビテックは、昨年に続き第2回ユビキタス研究所 フォーラムを開催した。今回「無線ブロードバンド化と地域社会/無線と IPテクノロジーが自律的発展を支える」というテーマで開催された フォーラムを紹介する。

開始時間13:25前には、90席程の会場はほぼ満席状態となり、急遽補助席が用意された。 今回は、地域と無線、特にWiMAXを軸にプログラムは構成された。特に産官学の視点が 揃ったプログラム構成とやはり話題のWiMAXだけに多くの興味を引いたらしい。 予想以上の出席率にスタッフも若干慌て気味であった。
荻野社長の開催の挨拶でセッションは開始された。

基調講演として、予定では慶應大学の中村修先生のお話であったが、先生のご 都合により急遽、湧川先生が代理で講演された。

湧川先生からは、まずグローバルな視点で、IPの標準化動向、IETFでのモバイル系 WG活動(MIP6-WGやNEMO-WG、Monami6-WGなど)の概要が紹介された。WiMAXに 関連する活動として、Proxy-MIPを検討しているNETLMM-WG、16ng-WGも紹介された。 NETLMM-WGでの裏話として、元々ここでは別の移動手法を検討していたが、他団体より MIPベースにする様圧力かかり、大きく方針変更された経緯があるという。IETFも ビジネス的団体からの圧力には弱い目が露呈した。 WiMAX Forumからも2007年末にはP-MIP6の標準仕様をリリースするよう要請されて いるらしい。16ngは、WiMAXのP2Pにトンネルをはる仕組みに起因するIPv6仕様の 変更を検討し、基本プロトコルの標準化はほぼ終了している。今後は、マルチ キャストの仕様、特にM-IDとマルチキャストグループのマッピングが次の標準化 課題かと先生はみていた。
話は慶應大学での取り組みに移り、慶應Open Wireless Broadband Platform Lab の紹介がなされた。大学の観点で、WiMAX/IPのネットワークにおいて、 どの技術を選択し、どう実装するかを検討し、標準的ネットワークデザインを 導き出すことが一つの目標とのこと。プロトコルスタックも、標準状態は非常に 複雑なので、実装と相互接続の課題はまだまだいっぱいあるという。
期待されるサービスとして、同報通信・放送型コミュニケーションの可能性に 注目されている。WiMAXという地域特化型無線網により、地域インフラになりえる と見ており、慶應大学は藤沢市と検討に入って、ネットワークデザインを開始した ところとのこと。 SFCキャンパスにてイーアクセスと実験を開始し、データは学会の論文として 近々に公開される。基本コンセプトとして、WiMAXを3Gの置き換えではなく、 インターネットを広げるものと位置づけている。村井教授のUnwired Worldを 実践すべく、藤沢市と組み、大規模テストベッドを構築して本当の無線サービスを 検討していく。インターネットは網で世界をカバーしたが、これからは、無線で 面的にカバーし「インターネットが空間を制す」を目指す。
つづいて、岩手県岩間主事により、岩手県における地域情報通信基盤の 現状と今後について講演が行われた。

神奈川・東京・千葉・埼玉あわせた広さより広い、県の広さだが人口は135万人、 48万世帯という規模。いまだに10軒に1軒が普通にテレビ見られない状態 という。
岩手県の地形的特徴として、北上山地と奥羽山脈の間と海岸沿いに人が集中 しているため、山間部にブロードバンドゼロ地域がまだまだ一杯あるとのこと。 同様にテレビ難視聴地域もまだまだ多く、BBゼロと複合的なデバイド地域の 対応が課題という。ブロードバンド解消に向けて市町村情報化サポートセンターを 設置し、現在BBゼロ地域の詳細把握を行っている。
もう一つのサービスとして注力しているのが、防災無線。岩手県立大学でも 緊急時の人の誘導も研究テーマに取り組んでいるという。
ただし、予算が十分にあった時代と違い、構築コストは徹底的に抑える 工夫も重要という。例えば、既存の公共施設(公民館や小学校など)を活用し アンテナ設置コストの抑制をするなど、あるものを活用するアイデアが必要と なっている。
地方で共通しているのは、まず地デジ対応、それからブロードバンド対応。 テレビ難視聴解消と併せてBBゼロ解消するのが1つのソリューションとして 非常に期待されているところだと岩間氏は見ている。
今回フォーラムの後援者、日本無線 小林氏からは、会社概要、そして WiMAXだけでなく様々な無線技術(802.15や11)の技術と製品の紹介がされた。 コンパクトなASN-Gateway機能付きの基地局製品が開発されたという。

そして最後に、IRIユビテック ユビキタス事業部の椋野より、WiMAXの概要、 技術の解説(理論値と実効値のはなし)、免許方針とWiMAXの有効な使い方の アイデアが紹介された。

全国バンド免許については既に締め切られたが、これからが地域バンド免許の 申請と選定となる。地域バンドは基地局単位の免許(事業者免許じゃない!) なので、面的サービスを予定するなら1局だけで満足してたら隣のエリアを 競合に獲られかねないルールとなっていることが強調された。まだ免許の 審査基準は公開されておらず非公式には11月に公開、1回目の交付は 夏の終わり頃、2回目は1回目の交付後(つまり来年夏~秋)となる見通し だという。
ユビテックでは、いろいろなWiMAXのインフラネットワークの使い方を検討 されている。柔軟な足回りを提供するバックホール的な使い方や、その上に 公共的な防災サービスを載せていくことが低コストに実現できるWiMAXの 期待は大きいという。
事業コンサルの視点では、期待が高いとはいえ、まずは段階的な商用化を 推奨している。まずは1局よりスモールスタートし、そこから想定した ビジネスモデルやサービスを検証しつつ規模を拡大していく。ビジネス モデルとして、通信アクセスサービスでは非常に事業性がひくく、 アプリケーションやサービスでの上乗せの検討が重要という。
最後に、ユビテックとしての「無線IPネットワーク」は、必ずしも WiMAXがベストとして選択することはないという。WiMAXも万能ではなく、 やはり無線技術も適材適所で技術選択すべきである、という考え方で 常にネットワーク設計を行っている。したがって、解決すべき課題と 接続したい拠点やエリアを明確にしてから、WiMAXや他の無線標準の 適応性を見て、最終判断するような形で地域ソリューションの提供を 行っているという。
終わりに、ユビキタス事業部 事業部長の白木からの挨拶で閉会した。
今回のユビキタス研究所フォーラムは、グローバルな標準技術による 地域ブロードバンドネットワーク展開、そして産官学の視点から地域を 活性化する無線サービスについての活動やアイデアが紹介された。 地域社会を豊かにするネットワークサービスのあり方、モデルとは どのようなものなのか、産官学の知恵を合わせて見つけて行きたい。
伊藤公祐(2007/10/25)
Posted by Itoh on Thursday, October 25, 2007

