ワイヤレスブロードバンド推進協議会が始動(2007/9/10)
夏休みをはさんですっかり更新が滞ってしまったが、9月10日からの全国バンドの免許申請(正確には無線局の開設計画)を控えて、全国免許をめぐる争いが最終局面を迎えている。報道にとよると四陣営が免許申請を予定しており、2年前の1.7GHz帯のように事前に申請者が絞られる可能性が見えない感じだ。
そんな中、ウチが発起人の1社でもあるWiMAXジャパンプロジェクト が二回目の総会を開催し、名称をワイヤレスブロードバンド推進協議会に変更して、地域バンドの活用に向けた活動を本格化することになったので、当日の雰囲気など含めて、最近のアイディアを書いておきたい。
WiMAXジャパンプロジェクトは2006年8月に、インテル、三菱総合研究所、ジャパンケーブルキャストとウチが集まって検討を開始したのだけど、当時は2.5GH帯の議論といえば、無線方式間の争い(WiMAX、IEEE802.20、次世代PHS)と、隣接システム(N-Star、モバイル放送)とのガードバンドで中心だった。その中、WiMAXジャパンプロジェクトは広義、つまりブロードバンド空白地帯とブロードバンド未利用世帯に注目した初めてのグループだったと思う。
・ルーラル地域での無線プロードバンド早期普及と利活用の促進を目指す「WiMAX Japan Project」を開始(2006年8月24日のプレスリリース、pdf, 275kb)
その後、2006年12月の総務省によるBWAカンファレンス では、ジャパンケーブルキャストさんとウチが共同で地域でのWiMAXインフラの具体案を示し、新潟県さんやアライドテレシスさんも地域での2.5GHzの利用ニーズを訴えた。ちなみに、最近注目のアッカネットワークスさんもBWAカンファレンスではルーラル地域とオープン性を重視した展開計画を発表している。その後、これらの地域重視構想は2007年1月からの高利得FWAの技術検討を経て、地域バンドが市区町村単位に割当られる事になった事で結実している。
WiMAXジャパンプロジェクトは2007年1月に20社以上の賛同を得て設立し、3月からまずはアプリケーションWGが検討を開始した。検討は電機メーカー、CATV事業者、不動産業者、通信機器メーカなどから30名ほどが月に1~2回ほど集まって、日本でのWiMAXアプリケーションの探索を行っている。世の中は通信事業者間の周波数免許争いや機器の開発動向に注目する中、インフラができる前に、実際に利用する側がその使い道を考えてしまおうという意欲的な取り組みで、この半年間の先行検討結果はこれから大きな意味を持つと思う。
で、WiMAXジャパンプロジェクトは9月4日に第二回の総会を開催して、活動を本格化する事になった。名称の変更は別の方式に浮気をするというわけではなく(笑)、地域の現状をつぶさに見ていくと、無線方式は2.5GHzのWiMAXにこだわる必要はない事は明らかで、コグニティブ無線ではないけど、4.9GHzの高出力無線LANや25GHz、18GHzのマイクロ波システムもしっかり見ていきましょう、という意味だ。
全国バンドサービスの提供には巨額の資金(噂では1社1500億円~と言われる)を集めた巨大通信会社が計画的に基地局を設置して、免許方針 で示された人口カバー率(3年以内に全国カバー10%、5年以内に50%)を達成しつつ、着々とインフラを整備するという、携帯電話と同じモデルが踏襲されることになりそうだ。最近ではイーモバイルのHSDPAサービスがこの手法に則ってサービス展開が行われているが、免許取得から2007年4月の東名阪でのサービス開始には1年4ヶ月を要している(この早さは相当にすごい事だとは思うけど)。
一方、地域バンドは無線ブロードバンドを使いたい人が、自分の使いたいエリアのインフラを整備する、きわめてインターネット的(最近だとFON的といってもよい)な展開モデルが可能だ。となると、これは少し期待しすぎかもしれないけど、実は地域バンドからWiMAXがスタートして、主流を占めてしまうなんて事も可能ではないかと考えてしまう。
いずれにせよ、世の中は携帯電話の文脈で語ることのできる全国バンドとその周辺の巨大なビジネスを巡る争いに注目が集まっているが、実は地域バンドも相当に面白い。感度の良いメディアにはぜひぜひそのあたり注目してほしいと思うのだけど。
(2007/09/10 09:47 干場 久仁雄)
Posted by on Monday, September 10, 2007
