地域バンドの担い手は?(2007/07/23)
2.5GHzの全国バンドをめぐる激烈な争いは、そろそろ最終章に入りそうだけど、そんな中、ひそかに地域バンドの方針が変更となった。大きな違いは地域バンドを3G事業者が申請できるようになった事で、地域バンドの使われ方は当初の予定とは大きく変わりそうだ。
総務省の発表は地域バンドと全国バンドがそれぞれ分かれている。
・全国バンド:広帯域移動無線アクセスシステムの免許方針案についての意見募集の結果及び2.5GHzギガヘルツ帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針案の電波監理審議会答申
・地域バンド:2.5GHzギガヘルツ帯の周波数(固定系地域バンド)を使用する無線局の免許方針案についての意見募集の結果及び同免許方針の決定
当初の案では地域バンドは携帯電話事業者、およびその関連会社(つまりNTTグループ、KDDI、ソフトバンク、イーモバイル)は申請できない事になっていた。しかし今回決定した免許方針では、提出された意見に対する総務省の考え方(別紙1) の19ページ目に書かれている通り、自治体を含む複数の意見に応える形で、
「デジタル・ディバイドの解消に資するという固定系地域バンドの目的を勘案すると、これまでデジタル・ディバイド解消に向けた取組に実績のある第三世代携帯電話事業者及びそのグループ会社を含む既存の電気通信事業者の参入を認めることは適当であると考えられます。」
との判断に変更となった。
これはどういう事だろう。前回のブログにも記載したとおり、今回の免許方針は競争を誘発することで世界一早くBWAを国内で普及させる事を狙ったものだ(と私は思う)。しかし、かくいう私も実際に感じていたのだけど、前例のない市区町村単位の免許を用意しても、最先端の技術を使うBWAの導入を各地方の自治体やケーブルテレビ事業者、地方のISPなどが易々ときめられるはずがない。たとえ資金が用意できる幸運な地域であっても、そんな難しいシステムを設置して維持管理するのは大丈夫だろうか、と二の足を踏むのは当たり前だろう。
地域によっては、政府の目指すブロードバンド空白地帯の解消についても、市町村レベルの意識には濃淡があると聞く。そんな状況で周波数免許を割り当てても、有効に利用されない懸念がある。場合によっては、周波数免許の経済的な価値だけを狙った企業などが全国で免許を申請してしまうことも考えられる。なにせ頼りのケーブルテレビ事業者は全国の市区町村の1/3にしか存在しないらしい。となると、やはり日本全国すみずみまで電話網を張り巡らせており、技術的な不安もない通信事業者(特にNTT)にも地域バンドの免許申請の道を用意しようと思うのはとても自然だ。
言い換えると、この方針転換によって、各地域で続いているケーブルテレビ局や地域ISPとNTT地域会社の間の固定(有線)ブロードバンド加入者の争奪戦が、無線ブロードバンドでは免許争いの形で繰り広げられることになるかもしれない。これは無線ブロードバンドを早く普及させようとする意図とも一致するのではないだろうか(
もちろん、NTTさんが強すぎるのは考えものだけど)。
今回の免許方針の転換によって、地域バンドが有効に機能する可能性が高まったように思う。となるとますますもったいないのは地域バンドがたったの10MHzしか用意されていない事で、やっぱりなんとかならないものかと、とても残念に思うのだけど。
(2007/07/23 23:18 干場 久仁雄)
Posted by on Monday, July 23, 2007
