新たな競争を促進する2.5GHz免許?(2007/07/04)
生まれつつある日本のWiMAXエコシステム(生態系)だが、免許の行方が決まるまでは、どうにもすっきりしないのはしようがない。そんな状況でも、ウチは免許申請をするわけでもないので、とっても気楽だ(能天気ともいえるが)。という事で、おなじみの月刊ニューメディア さんに免許方針やWiMAXの最近の海外動向について寄稿した。記事は6月半ばに書いたもので、その後の動きもあったので追記を含めてご紹介しよう。
以前(5月15日)のブログ2.5GHz帯の免許方針は競争重視 にも書いたのだけど、日本の免許方針は「競争」をとても重視したものだ。背景には、日本と並ぶブロードバンド大国の韓国が鳴り物入りで2007年6月にスタートしたWiBro が加入者が増えずに苦労している事があるのは確かだろう。
韓国では大手の携帯電話事業者(KT とSK Telecom )に2.3GHzバンドを3chづつ付与している。普及が進まない原因にはWiBro端末の消費電力や放熱の問題もあるとか。だけどWiBroとHSDPAをセットにしたサービスを出さざるを得ない所に両者の悩みが見える。つまり、KTとSK TelecomはいずれもHSDPAを補完するためにWiBroを使うという所に落ち着いてしまうのではないだろうか。折角の周波数が有効に使われないのはたまらない、とは誰でも思う事だろう。
さて、今回の免許方針を読み解くと3つの競争を誘発する仕組みが見え隠れする。
1. 2つの全国バンド事業者の間の競争
2. 地域バンドと全国バンドの間の競争
3. 地域バンド間の競争(地方自治体間の競争)

1番目はいわゆるNTT DoCoMoとKDDIの争いのようなもので、同じサービスを同条件で提供する事業者間の競争が必要という事。ただし巷で言われているように異なる通信方式(モバイルWiMAXと高度化PHS)を使う2社に免許が渡った場合、十分な競争状態が発生するのかについては少し議論が必要だろう。
2番目は地方自治体単位のサービスと1番目の全国サービス事業者間の争いだ。これまで通信サービスは都市部からインフラが整備され、地方は後回しというのが通例だった。ところが今回は地域単位の免許が用意されているので、各地域からデジタルディバイド解消を第一の目的として同時発生的にWiMAXサービスが始まる事も十分に考えられる。一方、全国バンド事業者はこれまでどおり人口密度が高く、新し物好きな人が多い大都市からサービスを展開する事になる。地方バンドと全国バンドの利用者獲得競争が期待されるのではないだろうか?
3番目は地域バンドを使う地方自治体同士の争いだ。高校野球ではないけど、誰だって隣の市や町は気になるし、隣がやっていて自分の街がやっていない事はくやしいだろう。地方の再生と言われて久しいが、地方自治体が住民を奪い合う時代も来るかもしれない。地域が低廉なWiMAXの無線ブロードバンドサービスを提供して、さらにはそれを使って便利な行政サービスを競うという事も十分に考えられる。
ということで、今回の免許方針はとてもよく考えられていると個人的には思っている。残念なのは地域バンドが10MHzしかない事で、いくら地方は人口密度が低くても、ビットレートや無線ネットワークの設計自由度はどう見たって地域バンドが不利である。とはいえ、周波数は不足しているので、新たな試みの地域バンドに多くを割り当てられないのはしようがない事だけど。10MHzでも十分なサービスが提供できる、WiMAXの進化版(Release 2.0)の登場が待ち遠しい限りだ。
(2007/07/04 24:45 干場 久仁雄)
Posted by on Wednesday, July 04, 2007
