INTEROP Tokyo 2009 ShowNet構築参加報告 (3)
ShowNetを作るメンバー
ここではShowNetを企画・設計・構築・運用するメンバーについて目を向けてみる。
このあたりも例年どおりである。メーカー・ベンダーからは最新の機器を提供頂くと同時にこれら機器をサポート頂くエンジニアの方にもコントリビュータとして参加頂いている。また、私たちNOCメンバーとして全体/個々の調整を行うメンバーも居る。さらには私が過去そうであったようにこのShowNet構築を通じて共有できるスキル/ノウハウを広く一般の人にも還元するという目的で一般公募しているSTM(ShowNet Team Member)も欠かせない。
いずれのメンバーもそれぞれの立場・役割は異なるものの、ShowNet構築を成功させるという点においては同じ思いを抱いてこのネットワークの構築、運用していた。今年はチャレンジが多かったこともあり、一筋縄では行かなかった部分もあったが、コントリビュータ・NOCメンバー・STMの力により乗り越えてきた。
私もNOCメンバーとして参加したが、今年は下記の件について主担当として実施した。ここからは、私が担当した作業について簡単ながら説明していく。- ラックマウント設計
- 電源設計
- ケーブリング設計
- STMディスパッチャー
1.については、現地にお越し頂いた方ならば実際の様子をお目にされたかと思うが、ホール4 の入り口脇にあったNOCラックのレイアウト並びに機器搭載検討、ホール内に設置される中継拠点(ShowNetではPodと呼んでいる)のラックレイアウト並びに機器搭載検討を行う役割である。一言でレイアウト検討と言っても、考慮しなければならない事項は多岐に渡る。 ShowNetでは非常に多くの機材が集結するが、それらを「見た目」、「機能」の両面で成り立たせるレイアウトを行う事がラックレイアウト担当には求められる。特に、ショーである以上、「美しさ」・「機能性」を高いレベルで実現しなければならない。 その上、提供される機材の仕様や型番は構築直前まで確定しなかったり、構築中の追加なども幾度となく発生したりするため、この度に追加搭載や積み替えなども必要になる。また、出品各社からご提供頂く機器である以上、機器への視認性の確保にも神経を使う。特に1Uのような薄い機器は単体で設置すると埋もれてしまい、目に留まらなくなってしまうことが多いため、なるべく同じ種類の機器をまとめて設置するなどの対応が必要である。今年は特にサーバ機材、ディスクアレイ機材が非常に多くご提供いただけたこともあり、例年以上にラックスペースが逼迫するなど、頭を悩ませることが多かった。 一方で機器の配置と合わせて考えなければならない物としてケーブリングも挙げられる。特に今年のようなコの字型のラックレイアウトの場合、ラック間ケーブルを需要が見込める場所に配置しておかなければ、それぞれの配線がとんでもない距離でラック間を往復することになり、無駄が多く発生してしまう。特に管理用ネットワークやTAP装置(ネットワークを分岐するための装置)周り、出展社向けのケーブルなどについては、非常に多くの配線が発生するため収容する機器を想定した上で、機器間の配線も集約できる形でまとめている。一方で、ラックマウント・ケーブリングなど物理面を担当する人が少人数でまとまった方がこのあたりの配慮も可能となり、より効率的な配置が可能となったのも事実である。昨年以上に手間がかかった分だけ、良い形になったと考えられる。

ラックマウント図

ラック概観
(上:NOCラック、左下:Pod4、右下:国際会議棟)
2.のラック電源担当の役割は、各機器への電源配置の検討及び収容機器の決定である。内容的には物理作業に近いということで1の作業にも非常に密接である。 ただ、一言に電源といっても、このShowNetで使われる機材を取っても様々である。AC100V、AC200V、DC48V等、元々想定されている使用場所・シーンなどでそれぞれ必要とする電源が異なっているのである。例えば、伝送装置はDC48V駆動が多く、サーバ等1筐体でも多くの電力を必要とする機材ではAC200Vを必要としたりする。また、ネットワーク機材のようにAC100Vだが、冗長電源の機能により複数系統での供給が必須といった物も存在する。更に、消費電流・電圧によってプラグ形状も異なる。今年はこれらの条件に加えサーバ機材、ディスクストレージ機材が多くご提供頂いたことにより、とても多くの電力を消費する結果となった。(※注:これら機材がとりわけ電力消費が多いという事ではない。高密度化が進んだ結果、単位体積あたりの消費電力が上がってきているというのが正確なところである。同一機能あたりの消費エネルギーで見た場合の効率は高められてきている) また、昨年までと同じように電源回路毎の電流測定を行う機能を持った電源分配ユニットが今年も別のメーカより登場し視覚的に確認が可能となっていた。今年の電源分配ユニットでは、電源アウトレットを遠隔でOFF/ONできる機能も存在するなど、運用面・環境面の両面において有用な機能を提供していた。ただし、それらツールではまかないきれないほどの量があるのもShowNetである。これら部分については基本に立ち返りクランプメータでの測定での対応となった。
3.のケーブリング設計というのは、主にネットワーク機材が設置される拠点間を結ぶ基幹系配線の配置設計並びに利用線番決定である。今年のネットワーク拠点の配置としては、4ホール正面のNOCラック、4ホール集約拠点であるPod4、5ホール集約拠点であるPod5、6ホール集約拠点であるPod6-1とPod6-2、コンファレンス・セミナーが実施される国際会議棟の6拠点が存在していたのであるが、その間を接続するために必要な光ファイバ心数を割り出し、対応できるファイバリソースを手配する。拠点間接続用途として実際に利用する光ファイバは多心の樽巻きファイバである。ただし、これらのファイバリソースも過去からの再利用でまかなっているため、ダメージのある心番などが存在する。これらを事前に測定することで今年利用できる心数を割り出し、必要であれば補修し、実際に必要な光ファイバリソースとして割り当てを行うのである。 近年拠点間を接続する基幹伝送路の部分は伝送装置で10ギガ回線を束ねるという方式で実施する事が多いため、拠点間を接続する部分のファイバリソースとしてはもっぱらSMF(Single Mode Fibre)である。一方でMMF(Multi Mode Fibre)の樽巻きファイバも存在している。1000Base-SXが全盛であった時代ではMMFでの割り当てが殆どであったが、昨今の伝送装置前提の構成になると出番は少なくなってきている。もっともMMFを使っていた場合にも幕張メッセという中~大規模な環境で実施する場合にはメディア限界長である550Mを超えてしまうこともあり使い勝手の面からも決して良い事ばかりではなかったのも事実である。このように最近はごく限られた範囲でのみに留まった使い方がMMFの主流となっている。

樽巻きファイバ
4.のSTMディスパッチャーというのは、一言で言い表すならばShowNetを構築する中で発生する様々なタスクをSTMメンバーに対して割り振り、完了させることでShowNet全体を完成へと結びつける役割を担うものである。全体の構築進捗を把握して現在の問題を解決すると共に、次に発生する作業を予測して準備する必要もある。また、的確な指示を出すためにも技術的な面においても全体を把握しなければならない。 一方で、作業をお願いするSTM全員へのメンタル・フィジカル両面でのケアも必要である。30名という大人数の各個人の体調管理、精神的なフォロー等々数えればキリがない。論理/技術とヒューマンインタフェースを一手に担い、やる事も膨大であるがその分遣り甲斐も大きく、ShowNetでもひと際重要な役割である。STM関連での今年のチャレンジとしてはHotStage(幕張メッセの会場全体を借りて構築展開する前の事前構築段階)から参加のSTMが20名、会期からのSTMが10名と例年の逆パターンでの人員配置を行った。これは、ShowNetの醍醐味である1からネットワークを構築するという事をより多くの方に経験頂けるようにという意図によるものである。結果的には運用上の負荷もそれほど大きく発生せず、より多くの方にHotStageから経験をという当初の目的は達成できたように思う。
(2009/06/22 17:50 清水 隆宏)
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