ShowNetを通じて見えたIPv6(その3 STMの作業)
実際のSTMの作業としては、HotStageと呼ばれる準備期間中での仮組み(物理作業~論理作業~チェック)、仮解体(幕張メッセに移動するための養生作業)、幕張メッセに移動しての本構築(HotStage場所から物品搬入~復旧作業~チェック)、イベント会期中の運用、イベント終了時の解体作業となる。ここでは、STMとして私が実施した作業を紹介しながら、ShowNet構築で実際される作業について説明を行う。
HotStageは会期開始の2週間前から行われ、幕張メッセ隣にあるイベントホールにて同一箇所に集約した状態ですべてを構築する。HotStageの目的とは、仮組みを行い動作チェックなども含めてShowNetが実際に利用される形まで持っていくということである。これを実施せずに幕張メッセに持ち込むと現地でのトラブルシュートでは移動距離が大きくなる等、効率が著しく低下するためである。幕張メッセの広さについては来場されれば体験頂けると思うが、広さを物語る過去の事例として幕張メッセ内を張り巡らすファイバーで1000Base-SXの最大距離550mを超えてリンクアップできなかった事もあったほどである。

HotStageでの仮組みですべての問題が洗われる。ただし、短期間で複数の人により設定・構築されるため、ネットワークが組みあがったからと言って設計意図通りに動くことはほぼ皆無である。設定ミスや動作不良など問題となる要素が山のように存在する。ここでは、トラブルシュート能力をフルに活用しなければ解決できない。設定内容では問題無いように見えても他の問題により正しく動作しない場合など、何を信じればよいかが判らなくなるような状態すら存在するのである。それでも、問題は必ずどこかに存在する。それを突き止め、解決することが重要であり解決することで大いにスキルが養われる。 とはいえ、時間が無限にあるわけでも無いため、最速で実施しなければならない。事実、スケジュール面では土日も潰して対応を行うため、ほとんど“のりしろ“が無い。夜通し対応することが日常茶飯事化することもある。そのためタイムマネジメントも常に心がけなければならない。難しいようであれば自身のみで抱えこまずに上手く分担して対応しなければならない。
一通りのHotStageでの仮組み・チェックが終わった後、幕張メッセ会場内に構築の場所を移して本構築を行う。最終的には出展者様にネットワークを提供することになるが、この時点でもトラブルシュートが必要になる。一連の動作チェックを既に実施してはいるものの最終的に出展者様が正しく接続できるためにはもう一歩対応が必要となる。一般の顧客サポートのような作業をイメージしてもらえば良いが、ケーブルを接続したがリンクアップしない、インターネットへの疎通性が無い、通信できない等様々なトラブルが舞い込んでくるのである。これは、展示会準備段階から会期中が終わるまで続く。この時点では、出展者様というお客様という要素が増えるためこれまでのHotStage時点でのトラブルシュートとは根本的に対応方法を変えなければならない。お客様によってはこのShowNetを使ってデモを行うような方もいらっしゃるため、デモ中の正常通信の確保が最優先であり、時間との勝負であったりするためである。また、ShowNetの目的そのものが出展者様に使って頂くことにあるため、この点をクリアできなければ全く意味がなくなってしまう。
ただ、このように新しい技術が登場しようが、お客様が関わろうがトラブルシュートのやり方・考え方は変わらないのが面白いところ。OSI7層構造の低いレイヤから見てゆくという大原則である。まずは手元のPCから見る、その先はゲートウェイとなっているルータまで見る、更に次はルータから先を見る~という具合で一つ一つの掘り下げの繰り返しなのである。IPを使っているから当たり前といえば当たり前なのだが、原則は今も昔も変わりないのである。また、トラブルシュートではプロトコルの細かい動作なども見て判断しなければならないことも多く、ネットワークに関する基礎知識も非常に重要となってくる。
このような形で無事展示会期間を乗り切ると、撤収となる。文字通り機材を回収し、ネットワークをばらばらにしてしまうのである。構築するまで準備期間も踏まえて9ヶ月程度かけたネットワークが物の数時間でバラバラになってしまう。夏の花火のように太く短くその輝きを放ったあとは儚く散るネットワークなのである。 芭蕉の句「夏草や兵共が夢の跡」が脳裏をよぎる。
その1 INTEROPとShowNet へ
その2 ShowNetを作るメンバー へ
その3 STMの作業
その4 今年のShowNetの見所 へ
その5 まとめ へ
INTEROP Tokyo 2007 公式サイト
INTEROP Tokyo 2007 公式サイト内 ShowNet紹介ページ
(2007/06/21 20:18 清水 隆宏)
