ShowNetを通じて見えたIPv6(その2 ShowNetを作るメンバー)
ここではそんなShowNetを企画・設計・構築・運用するメンバーについて目を向けてみる。
これまでにも述べたとおり、ShowNetはその時代の最新技術を投入するため、メーカー・ベンダーからは最新の機器を提供頂くと共にこれら機材のサポートを行うためにトップエンジニアの方にも参加して頂いている。ただし、メーカー・ベンダーのみではShowNet構築は難しい。
なぜならメーカー・ベンダーの枠を超えた調整を行わなければ、全体のShowNetとして成り立たないことがあるためである。たとえば、ShowNet全体のポリシー決定やネゴシエーションを行う部分などは特定の機器メーカー・ベンダーだけでは話がまとまらないことが起こりうる。また、力のある機器メーカー・ベンダーの機材でShowNet自体が寡占されてしまうような状態も起こりうる。このあたりの調整を行い、ShowNet本来の意義を維持するために活動する部分はNOC(Network Operation Center)メンバーと呼ばれる人たちで運営されている。とはいえ、NOCメンバーも機器メーカー・ベンダーから参加の方もいれば、学術系からの参加の方などもおり、非常に多様なメンバーが揃っている。ただし、先にも述べたとおりShowNet全体の成功のために邁進することを共通理念として持ち、周りからも認められた者がなる事ができる特殊な存在なのである。もちろん、この方々もスキルは一級品であり、日本のインターネットを支える第一線の人々が揃っている。冗談抜きで 「あ、この名前、以前本で見かけた!」というような事が珍しくない。
そんなプロフェッショナル集団と触れ合いながらShowNetを構築できるもうひとつの立場が冒頭にも述べたSTMである。 STMもメーカー・ベンダーなどの一般企業の方や学術関係の方で構成されており、すべて公募によって選ばれたボランティアでの参加である。

公募は毎年3月~4月位にINTEROPの公式Webサイト内にて実施され、誰でも申し込むことが出来る。公募後にはSTMはどのような作業を行って、何が必要とされるか?などの説明会が実施される。今年からは集団面接も実施され、これらを通じてSTM活動にあたって具体的な内容の説明を行い、参加予定者の不安を取り除くとともに万が一誤解があった場合にはその誤解を解く事が出来るようにする良い機会になっている。オペレーション体制の見直しなどによりSTMの人数自体も見直しがなされ、年々狭き門になってきているが、こう言ったフェイストゥフェイスのやり取りにより、より密度の高い人選が行えるような状況になってきている。その後、上記の結果を踏まえてNOCメンバーでの議論の後STMメンバーが決定される。
ところでこのSTMの要員構成も非常に面白いものである。大学・専門学校の学生さんと社会人がほぼ半分位だろうか。私のような社会人にとってみれば、学生さんのエネルギー溢れる考え方や、サっとスクリプト(簡単なプログラム)を書き上げてツールにしてしまう能力、世間に毒されていない見方など非常に参考になる部分は多いし、逆に学生さんにとってみれば社会経験を踏まえた視点からの刺激が受けられるなどの事がうまく相互作用していると思われる。
実際の作業に当たっては、NOCメンバーが中心となって動かしていくことが原則である。その中で、STMも頑張っていることも少なくない。自身のやる気が最優先されるため、やる気があればどんどんチャレンジしてゆくことができる。当然、実績が無い段階ではどのくらいのスキルレベルなのかなどの基本的な情報が無いため、作業を任されるという事は難しいが、回数を重ねる度・NOCメンバーとコミュニケーションを取る度に信頼度も上がり作業を任される機会が増える。このあたりは通常の仕事と同じである。
あと、このような短期決戦プロジェクトでは情報を上手く利用することが非常に難しい問題となる。先にも説明したとおり、参加しているメンバーとしてはSTMやらNOCメンバーやらメーカー・ベンダーの方と非常に多岐にわたる。ある人がトラブルを改修する目的で設定を調整したにも関わらず、その情報を知らない人が同じ箇所を別内容で再調整してしまうのでは意味が無いのである。この部分においてShowNetではトラブルチケットデータベースというこのイベントに特化したデータベースシステムを用いて共有を行っている。問題が発覚したら、まずトラブルチケットに入力→チケットをハンドルする人が適切な人に割り当て、作業開始→作業完了後にトラブルを申告してきた方に確認してもらってClose この流れですべての問題を管理しているのである。このようなツール類も上手く活用しながら、ShowNetに関わるメンバー間で上手く情報共有して一つ一つ作業をこなす積み重ねにより、ShowNetといった大きなネットワークを構築してゆく推進力になってゆくのである。
その1 INTEROPとShowNet へ
その2 ShowNetを作るメンバー
その3 STMの作業 へ
その4 今年のShowNetの見所 へ
その5 まとめ へ
INTEROP Tokyo 2007 公式サイト
INTEROP Tokyo 2007 公式サイト内 ShowNet紹介ページ
(2007/06/21 20:16 清水 隆宏)
